半沢直樹によろしく

日々の苛立ちだったりささやかな喜びだったり

コロナによる融資の現場の状況は、、

2月末頃から3月半ばにかけて、融資や資金繰に関する相談が徐々に増えてきました。
飲食業、旅館・ホテル業、イベント関連、アミューズメント関連、学習塾、タクシー業者、どこも基本的に自粛要請に伴うヒトの移動が減ったことにより直接的に影響を受ける業界からの相談がほぼすべてでした。
若しくは、コロナ影響が出る前からそもそも資金繰りが厳しい企業からの相談が一定数ありました。

しかし、ここにきて徐々に相談を受ける企業の業界が広範になりつつあるのが現場の肌感覚として実感しています。

飲食店を中心に食材を納めている卸売業者。
部材の納品遅延により現場が止まりつつある工事業者。
大型イベントのキャンセルにより同様にキャンセルとなった警備スタッフの派遣業者。
中国から部材や商品がストップしたことで納品ができない卸売業者。
港湾貨物量の減少により作業量が激減した港湾運搬業者。
原油相場の下落により高値仕入れをした玉を保有して在庫処分損となっている業転業者。
現地法人が操業停止状態となったことによる固定費負担のみ発生している製造業者。

ヒトとモノの移動減少が直接的に影響を受けた企業との取引のある企業が一足遅れで影響が出つつあるようです。


また、具体的な影響は現時点では出ていないものの、将来的に悪い影響が出るだろう、と考えてる企業は本当に多数いらっしゃいます。

自動車メーカーの1次~5次下請業者。トヨタマツダでは実際に工場休止となっており、既に影響が顕在化しつつある。
自動車ディーラー業者。自粛要請の中で来店客も減少し、また消費マインドの冷え込みも想定され、新車販売への影響不可避。
外車ディーラー業者。海外工場は生産停止長期化、輸入車がそもそも入ってこない状況に至る可能性。
ハウスメーカー、地場工務店。水回り製品の中国からの輸入が大幅遅延。完工まで遅延気味であり、先行き不透明感から消費マインド冷え込み。
印刷業者。ペーパーレス化に歯止めがかからず、今回のコロナを機に更にペーパーレス化の加速による需要減退。
食料品製造業者、セントラルキッチンを保有する飲食業者。来客数減による売上減は当然つらいが、もっと辛いのは工場社員からコロナ患者が発生した場合、一時休業は不可避であり、その影響は計り知れないという不安。


ここからゴールデンウィークまでの約1か月がある意味正念場と思われます。
3月の実績数値が出てくるのが4月中旬頃、そこからその数字をもとに融資を検討して実行していくこととなります。
同時並行でこれから影響が出てくる取引先からの相談も受けながら対応するとなると、ゴールデンウィークを稼ぎ時としていた商売の方は、何が何でも早期に銀行に相談すべきです。
どこの銀行も、その頃にはキャパシティがパンパンになってきているはずです。
短期間で結論を望まれているお客様に対しては、当然限られた審査しかできないため、お断りする確率が高まります。


銀行は過去のデータのみで将来の見通しを検討せずに審査する、と揶揄されることが多くありますが、こうした将来の不確実な状況(有事)において、審査のよりどころになるのは平時の収益力です。過去、平時においてこの程度の収益力を上げていたのならば、いつコロナが収束するかは不透明であるが、収束したら平時の収益までは戻るだろう、との簡単ではあるものの合理的な判断を建てられます。

こうした状況の中で今更言ってもしょうがないですが、銀行とのコミュニケーションは重要です。銀行側が反省することは無限にありますが、一方で企業側も平時において十分にコミュニケーションをとろうとしていたか、考える必要があります。
情報の非対称性を、銀行側・企業側双方が埋める努力をすることでコミュニケーションが成り立ちます。

今回のコロナは、それを明確に知らせてくれたような気がしますが、いずれにしても私もあなたも生き延びないことには始まりません。

きっと誰かが助けてくれます。死ななきゃ何とかなります。