半沢直樹によろしく

日々の苛立ちだったりささやかな喜びだったり

銀行員の転勤事情

ご存知のように、銀行員には転勤がつきものです。

例年、年度替わりの春先が人事異動としては最も多く動く時期となります。
新入行員の配属と、役員関係の異動の目途がつくことから、一番動かしやすいのでしょう。
内示がでてから2~3週間でばたばたと引継ぎとあいさつをして、引越しをしていくケースが一般的なように思われます。

転勤の目的としてよくネット等でかかれているものとして、取引先との癒着を防ぐであったり特定の店舗の特定の業務に長年従事することにより不正(特に横領)するのを防ぐ意味合いがあると言われていますが、当然それはその通りです。
また、誰かが突如退職したことで、本来転勤予定のなかった人が、玉突き事故的にその人の穴埋めに転勤したり、ということも間々あります。
支店長の力量等により、いわゆる営業のできる人がほしいとか、若しくはこの職員だけはまだ自分の手元に置いておきたいとかの要望を人事部に提出することもありますし、その結果として転勤になったり、転勤が遅れたりということもあります。
最近では、離職防止等の観点から、親の介護や子供の状況等をある程度加味した人事異動があるのもしばしば見聞きします。
いずれにしても、銀行に限らず人事異動というのは人事部以外の人間にとって見たら会社の事情によるコマとして動くしかないものです。

転勤にネガティブな内容ばかりが銀行員のブログに書かれていますが、逆にこうした銀行特有の転勤事情だからこそ良いこともあると思っています。要は考え方一つだと思います。

厳しい上司やパワハラ系の上司に運悪く当たってしまったとしても、自分自身も上司も一定期間のサイクルで転勤になることから、その期間耐えれば別の環境となりえる。中小企業では転職しない限り上司は基本的に変えられないし、大企業でも特定の少人数の部署ではほぼ固定的なケースもあり。
本部の専門部署に異動した場合、支店での仕事内容からは離れた、銀行にいながら業務の幅を広げられる(可能性がある)。
役職が上がるのと同時に転勤することも多々あり、給料・ボーナスの増加が期待できる。
・・・そんな程度ですかね。。

最近の金融庁の動向では、長期間の担当の場合の癒着リスク等よりもむしろ、頻繁に取引先の担当者をコロコロ変えることにより取引先との信頼関係の構築が断続的となり、経営支援や事業承継等の経営の根幹にかかわる支援が不十分となっていることを問題視しており、転勤のサイクル等に対して柔軟な対応に変化するような流れとなりつつあるようです。やはり1年程度は信頼関係の構築に時間がかかるように思えますし、メインバンクであるかどうかは関係なく、人として信頼されるには時間がかかるものです。


私はこの春の異動はありませんでしたが、転勤候補者であることには変わりなく、次の異動先が私に対する組織の評価だと思って仕事をしていこうと思います。そして、組織の評価に対して自分が納得できない場合に何か手を打てるように、今から少しずつ対策をしていきたいと思います。
人事はヒトゴトですが、自分の人生はジブンゴト。何書いてるかよくわかんなくなってきました。仕事で疲れてるんでしょうか。


また、最近では新型コロナの関係で、転勤の赴任期限を1か月程度後ろ倒しとした金融機関もあるそうです。
では、明日もコロナ関連での相談も多数来るきがしますが、それぞれの持ち場持ち場で頑張りましょう。おやすみなさい。

あれから9年という事実

震災から9年、ちょうどそのころは駆け出しのバンカーでした。

リーマンショックの余波が収束しつつある状況の中で、当然日常が非日常に変わりました。

 

幸いにして私自身も家族も直接的な被災を免れましたし、運よく避難所生活も送らずに過ごすことができました。

その日は支店に泊まる人もいましたが、私は電車が止まっていたために2時間近くかけて歩いて帰りました。

土日を挟んで月曜日も電車は止まったままで、先輩の車に乗せてもらって支店まで行った記憶があります。

その後は取引先からの借入相談や元金返済ストップの相談、そもそも連絡が一時的につかない取引先、そして支店の営業車にガソリンを入れるために空いているガソリンスタンドに並ぶ等、多忙さの中で次第に非日常が日常になってきました。

 

あれから9年、特に東北地方の被災3県は道路や住宅等ハード面の整備は一定程度進み、事業者もグループ補助金と呼ばれる補助金を活用し、工場や事務所、店舗の再建に取り組まれた事業者がいらっしゃる他、大なり小なり公的支援を受けて再建に向けて懸命に取り組んでこられました。

一方、このグループ化補助金については現在もなお被災企業にはついて回るものでして、以下の記事を参照します。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200307-00000025-mai-soci

 

補助金」と名がついていますが、復旧にかかる必要資金の一定割合は国や県が補助金として交付するものの、一部については自己負担を求めている制度となっており、復旧の際に手元に資金が多くない場合(大抵がそうですが)、無利息かつ数年の返済据置期間を設けて資金を借りられるものとなっています。

つまり、数年後からは自己負担分の返済が開始となり、その分の資金繰りが忙しくなるのです。

当初制度を作った際は、数年間という時間の中で、売上と利益を回復してもらい、結果としてその返済以上のキャッシュフローを産み出していくことを目的としていたのでしょうが、現実は十分な売上回復には至らず、返済が開始されたことにより苦しい状況に陥っているわけです。

将来の事業計画を精緻に計算せずに後先考えずに目先の補助金で再建を果たそうとしたのでは?と経営者を責めたいわけでもなければ、こうなることは当初から予想できただろうと官僚を批判したいわけでもなく、自分を含めた銀行員はそんな中何ができたんだろうと過剰に銀行員を卑下したいわけでもなく、その時点ではそれがベストな行動だと思って必死にそれぞれが持ち場で頑張っていたんだろうと思っていたいのです。

 

非日常のままの生活は非常に消耗します。人間の「都合の悪いことは忘れる」という機能は、非日常を日常に戻してくれる大切な機能なのかもしれません。

 

14時46分の営業中に取引先の事務所で社長とともに1分間の黙とうを捧げ、日常に戻っているならば、この1分間だけでも非日常に戻らないと、と思った一日でした。

 

明日からも頑張ります。

新型コロナが経済に与える影響と中小企業の経営者が今からとるべき対策について

連日の新型コロナウイルスの状況と報道を受け、経済への影響がいよいよ深刻化してきそうです。

リーマンショックの際には、金融経済から実態経済に景気の落ち込みの波が急激に襲ってきました。
金融機能が非常に脆弱になり、普段なら資金調達、特に銀行借入の必要のないような一部上場企業から、しかも金利もある程度の水準でいいからと申込が来るくらいの状況でした。上場企業からしても、当然先行き見通しが立ちにくいことでの前もった調達という意味合いもあったでしょうが、むしろ金融機能の麻痺からくる調達リスク回避の意味合いが大きかったように思います。

東日本大震災のときは、何はともあれ復興、再建に向けた資金対応、サプライチェーンの局地的断絶と売上が立たない中での資金繰りのための資金対応が中心でした。
震災後の自粛ムードもありながらも、逆に頑張ろう東北!のような盛り上がりも一時的ではあれど、復興需要という形であらわれてはいました。


さて、今回のコロナはどうでしょうか。
ヒトとモノが動かなくなり、結果金が回らず、それでいていつになったら終わるのかという目処が立たない状況は、リーマンショックや大震災よりも酷いかもしれません。


news.livedoor.com


足元では日に日に取引先からの不安の声や今後の業績のこと、資金繰りに関する相談が増えてきております。
旅館、飲食店、ホテル、結婚式場等ではそもそも多数のキャンセルや予約が入らない状況。
ドタキャンについては約款や顧客との相談ではあるもののキャンセル料等は一部確保できている様子ではあるものの、この先の売上見通しが全く立たない一方で、人件費を中心とした毎月の固定費負担はそれなりに重たいため、かなり危機的状況です。
タクシー業者やバス業者等も観光客やビジネス利用が激減。
日銭商売と言われる業界といえども、売上が全くと言っていいほどたたない場合、どうしようもない状況です。。
製造業であれば部材が中国から入ってこないことにより、受注はきているものの納品できないために売上が立たず資金繰りは忙しくなる状況。
しかも万一従業員でコロナが発症した場合、工場閉鎖となれば受注していたもののみならず将来にわたって失注する可能性もあり、気が気でない経営者が多数いらっしゃいます。
TOTOのホームページにおいても、トイレやシステムキッチンの日本における納品が遅れている状況とのことで、例えば家を建てたとしても水回り関係を設置できず家の引き渡しができないことも今後想定されます。

【お知らせ】弊社商品納期に関するご案内 | 重要なお知らせ | TOTO


コンビニの経営者は昨今のトイレットペーパーのデマの影響から、コンビニのトイレに置いてあるトイレットペーパーが盗まれる事態にもなっている様子。

さて、こうした状況において、最も厳しい影響を受けるのは、言葉を選ばずに言えば社会的・経済的弱者から始まっていきます。
様々なニュース記事で出ているように、非正規労働の方は忽ちに出社抑制を受ける一方、生活費を稼げない状況に追い込まれることになっています。
大企業、中小企業問わず、ヒトとモノが動かない中で、足元で売上を維持するのは正直無理です。企業努力によって売上減少に合わせて経費を削減しようにも、固定費の削減には限界があります。
特に担当している多くの経営者は、歯を食いしばって従業員の雇用については守ろうと懸命に努力していらっしゃいます。


企業毎に当然対策の仕方や対策の程度に違いはあれど、イチ金融マンとして特に中小企業の経営者が最低限何をすべきかをお伝えしたいと思います。

①毎月のキャッシュの流出(人件費や買掛金/未払金決済、水道光熱費や通信費、銀行借入の返済等すべて)を精査し、現状の手元資金(定期預金等含む)であと何日持つかを把握すること。

②前年の2月、3月、4月単月の損益状況を確認すること。

①②は、自社の現状分析を冷静にする、ということです。
金融機関の人間は、基本的には困っている経営者を支援したい、と思っている人が多い(はず)です。
しかし、「コロナで売上が全く立たないし見通しが立たない・・・」と言われたときに、あとどれくらい金融支援をせずに持ちこたえられるのか、その根拠は前年同時期と比べて妥当か、程度については最低限数字で状況説明してもらうことによって、審査の検討期間を把握したり、新規融資or返済を一時的にストップするにしても初見の判断がつけやすくなります。


セーフティネット保証4号認定・5号認定を取得可能であれば取得しておく。
④メインバンクの担当者に今後の資金繰りのことについて相談する。場合によってはメインバンク以外の担当者にも相談してみる。
⑤日本政策金融公庫に対して取引がなくても相談してみる。

令和2年3月2日に新型コロナに起因して影響を受けている企業について、4号認定・5号認定が認められるようになりました。
細かな要件はありますが、本店所在地の市町村商工担当課に相談のうえ、認定をもらえるならばもらっておきましょう。提出書類はそれほど複雑ではないです。自治体のホームページで探してみてください。4号認定・5号認定取得により、保証協会の通常枠に別枠で申し込みが可能となります。金融機関にとっても、信用保証協会の保証付で対応となれば融資のハードルは格段に下がります。
www.chusho.meti.go.jp


④自社をよく知っているメインバンクに相談してみましょう。私がここで書いていることよりもはるかに、自社の状況を踏まえたアドバイスをしてくれるはずです。もしメインバンクが不適当な対応をとるならば取引のある金融機関に手当たり次第に何かしら聞いてみてください。他社の状況でもよいですし、自社の今後についてでも結構です。情報収集と取引銀行ごとの自社に対する考え方を知る良い機会でもあります。本当に状況がひっ迫している場合においては、なりふり構っている場合ではないです。
取引がない場合でも、日本政策金融公庫は政府系金融機関として、制度融資を活用した融資をしてくれる可能性があります。基本的には決算書3期分と足元の状況が確認できる資料、通帳のコピー等を準備のうえ、まずは相談してみるのも手です。取引銀行に相談するにしても新規の金融機関に相談するにしても、先ほどの現状分析をしておかないと話が進みませんので、繰り返しになりますが説明できるようにしておきましょう。
とにかく、現状分析を的確に行った後は、限られた時間で今後の事業継続に向けた選択肢を広げるための対策をとるべきです。資金が枯渇に近づけば近づくほど、できる選択肢は限られていきます。


さいごに、経産省のHPをリンクしておきます。ここに一通りのことはまとまっています。悲観する状況ではありますし、先が見通せない状況でもありますが、私も銀行員の端くれとして担当しているお客様を微力ながらご支援したいと思っておりますし、銀行員の使命でもあると思います。
こんな時こそ、銀行員にできること、銀行員だからこそできることを考えながら明日からも仕事に取り組んでいきたいと思います。
www.meti.go.jp

自分のキャリアの棚卸

社会人となって凡そ10年、小学校に入学してから中学校を卒業するくらいの期間かと思うと、この10年で学んだことやできること、できないことの棚卸をしようと思います。

 

職業  ;銀行員

職務内容;ほぼ法人融資営業に従事

資格  ;証券外務員や保険募集人、FP2級、簿記2級、各種銀行業務検定試験

 

 

うーん、これだけだと薄っぺらい。。。。

履歴書や職務経歴書を作成しようとしたときに、この漠然とした内容だとホントにどうしようもない10年間だったような気になります。



(法人営業の)銀行員経験から身についた(と思っている)こと

こんな感じでしょうか。

・財務分析能力

与信判断能力

・与信管理能力

・金融知識全般

・経営者との会話力

・(デッド)ファイナンスを中心とした提案力

・ストレス耐性

・少しばかりの不動産の知識、事業承継に関する税務の知識




銀行員にできないこと

 銀行員は、経理財務関係が基本的にできる雰囲気ですが、結局できないことはこんな感じです。


経理実務全般

・月次、決算業務

エクイティファイナンスの知識

・プロジェクトファイナンスの知識

・事業会社における事業運営管理

 



こうしてみると、自分のキャリアがなかなか潰しがきかないものなような気がしてきます。

銀行員の銀行内部のキャリアとしては、自分で言うのもアレですが、そこそこ実績をあげてバリバリやってきましたが、この先どうなりたいか、どうしたいかを真剣に考える時に来てるのかもしれません。。。

自己紹介

ブログはじめてみました。

きっかけは転職のための面接に落ちたこと。
転職しようと思ってたような、そうでもないような感じでやってたのが、ぷっつり落ちたことでふわふわした気持ちがなくなったから。


どんな記事を書いていこうか模索中ですが、三日坊主にならないように定期的に書いていきたいと思ってます。